ドラムのリムショットとは、スネアドラムのリム(小太鼓の縁)を叩いて演奏することです。
音楽初心者(DTM・作曲)の方から、オープンリムショットが全然叩けない、というドラマーの方へ向けて、リムショットを全力解説してみます。
特に初心者ドラマーの方はオープンリムショットのコツが知りたいと思いますので、目次から飛ばして見てみて下さいね!
1.リムショットとは?
リムショットとは、スネアドラムのリム(小太鼓の縁)を叩いて演奏することです。
音楽初心者の方へ向けた説明としては、『ドラムの奏法の名前』です。
大きく分けると3種類あります。
- オープンリムショット(リムとヘッドを同時に叩く)
- クローズドリムショット(ヘッドにスティックの先端を付けながらリムを叩く)
- リムショット(リムだけ叩く)
1-1.オープンリムショット
オープンリムショットとは、スネアドラムの打面(小太鼓の皮)とリム(縁)を同時に叩く奏法です。
普通にスネアドラムを叩きながら、追加でリムも叩くイメージです。
パンチの聞いた大きな音がします。
オープンリムショットの音色
オープンリムショットを演奏している動画です。
この動画内では、スネアドラムの音は全てオープンリムショットで演奏してます。
1-2.クローズドリムショット
クローズドリムショットとは、スネアドラムの打面(小太鼓の皮)にスティックの先端(お尻側)を付けながら、スティックのショルダー部分でリム(縁)を叩く奏法です。
バラードやボサノヴァなど、静かな雰囲気で使われることが多いです。
何か難しそうだ、と思うかも知れませんが、動画を見ると単純だと思います。
クローズドリムショットの音色
クローズドリムショットを演奏している動画をご覧ください。
1-3.リムショット(rim shot)
リムショットとは、太鼓の縁だけを叩いて演奏することです。
シンプルに、縁を叩くだけです。
上記のオープン、クローズそれぞれのリムショットと比較するとあまり使われることはありません。
有名な曲だと、Mr.BigのCololrado Bulldog(コロラドブルドッグ)のAメロで使われています。
吹奏楽の曲では度々使われます。僕はオープンリムショットを叩いて白い目で見られたことがあります^^;
リムショットの音色
ドラムスティックで金属を叩いた音がします。
ジュースの缶を叩くのと同じような音です。
動画が無くてスミマセン。
2.リムショットの使い方
リムショットを音楽的にどう使うかについて記載します。
リムショットの使い方は主に3種類です。
- バックビートで使う
- アクセントとして使う
- 効果音として使う
2-1.バックビートで使う
ロックドラムのリズムパターンでは、スネアドラムを主に2拍4拍で叩きます。
ここのスネアドラムをオープンリムショットで演奏します。
ドラム全体、さらにはバンド全体のリズムが強調されてとても音楽的に効果的な使われ方です。
ジャンル的にこういう物なのだ、と覚えておけばオッケーです。
2-2.アクセントとして使う
先ほどのバックビートで使うと似ていますが、少し違う使い方です。
バックビートの場合は、その音色そのものだけで使いたい!という使い方でした。
ここでの使い方は、アクセントとノンアクセントの組み合わせで使用することです。
主に、ドラムのフィルインやリズムパターンで使われます。
使用例の動画
リムショットをアクセントとして使う例を動画で見てみましょう。
Ex.69~リズムパターンでリムショットとノンリムショット(アクセントとノンアクセント)を使って演奏しています。
2-3.効果音として使う
リムショットを効果音代わりに使うこともあります。
カウベルやタンバリンのような扱い方で、急に効果音を入れるような形です。
使用例の動画
ヨルシカの夜行の1番が終わった戻りのイントロです。
2小節目の4拍目にクローズドリムショット→ライドのカップと叩いています。
ライドのカップも効果音なので、効果音→効果音の使い方で面白いです。
スプラッシュシンバル、クローズドリムショット、ライドのカップはドラムの3大効果音です。
ヨルシカのドラムでは、効果音を連続させて使われることが多いです。
2-4.リムショットを使わない場面
常にやる必要はないよ
オープンリムショットって常にやるの?という疑問にお答えします。
ロックドラムの場合、2拍4拍のバックビートは常にリムショットします。
軽音楽部の先輩からは『常にオープンリムショットで叩け!』なんて教わることもあるかも知れません。
しかし、オープンリムショットを使わない場面もありますので、解説してみたいと思います。
アクセント移動系フィルイン
ロックドラムでオープンリムショットを使わない定番として、アクセント移動系のフィルインがあります。
叩いているのはスネアドラム1種類だけでも、音色は2種類(リムショット・ノンリムショット)使い分けることによって、コントラストのあるフレーズが叩けるようになります。
マーチ系リズムパターン
スネアドラムだけを叩くリズムパターンの場合、リムショットを使わないことが多いです。
代表的な曲としては、チャットモンチーのハナノユメでしょうか。
シェイクビート
シェイクビートとは、ドンドンタンスタスタドンタン!みたいなごちゃごちゃしたリズムパターンのことです。
2拍4拍はオープンリムショットで演奏し、他の部分でノンアクセントや、極小の音(ゴーストノート)を交えて演奏します。
一応動画も載せておきます。
シェイクビートの動画
演歌や歌謡曲のバックビート
演歌や歌謡曲のバックビートでは、オープンリムショットが使われないこともあります。
NHKの、のど自慢を見ているとジャンルによって使い分けていて面白いですよ!
ジャズドラム
ジャズのドラムでは、スネアドラムの音色・音量を細かく使い分けています。
僕は全然叩けないので動画は紹介出来ないのですが、マクドナルドでBGMで流れていると聞き入ってしまいます!
吹奏楽
吹奏楽の場合、オープンリムショットだと目立ち過ぎるのでバックビートをリムショットを使わずに演奏することがほとんどです。
しかし、バンドで100人を超える規模だったり、ロック曲(ディープパープルメドレー)の場合はバックビートでオープンリムショットを使っても良いと思います。
3.リムショットのやり方やコツ
ドラム初心者向けにリムショットの叩き方やコツについて書いていきます。
3-1.オープンリムショットのコツ
オープンリムショットのコツは2つあります。
- スティックを水平に振る
- スネアドラムの高さを調整する
スティックを水平に振る
オープンリムショット1番のコツは、スティックを水平に振ることです。
言い方を変えると、手首を使わないということです。
手自体を上から下に落とします。
ヘッドとリムを同時ではなく、ヘッドから当たるようなイメージです。
スネアドラムの高さを調節する
オープンリムショットが出来るようになってきたけど、安定しない方の場合、
スネアドラムの高さを変えると改善する可能性があります。
セッティングで、自然に振った時に丁度オープンリムショットが鳴るように調整します。
デフォルトでオープンリムショットが出来るセッティングにします。
リムショットをしないのが、特別なショット、という感じです。
僕はロック中心なので、実際のプレイもリムショットが9割です。
オープンリムショットが特別なんだ、という感覚を捨てるのが大切だと思います。
スティックの持ち方
オープンリムショットに限らないのですが、僕がオススメするのは小指グリップです。
一般的と呼ばれているグリップ(吹奏楽式と勝手に命名)と比べて説明してみます。
吹奏楽式
親指と人差し指でスティックを挟むように握って支点を作り、残りの指でリバウンドをコントロールしたり、指の握りこみを動力とする持ち方です。
一般的な持ち方だと思われていますが、ロックを叩く僕は1%くらいしか使っていません。
クローズドロールをする時や、小~中音量で断続的に同じ音量で連打をする時に使っています。
オープンリムショットには適しません。
理由はリム側から叩くからです。完璧にリムとヘッドを同時に叩かなければなりません。
このグリップで叩きたい場合、手首と指を固定して腕ごと振ることをオススメします。
小指グリップ
小指、もしくは小指と薬指でスティックを握り、他の指で支える持ち方です。
パワーが出る、特定の指への負担がないので疲れにくい、腕の回転を利用しやすいなどのメリットがあります。
真上から狙いやすい、ヘッドからショットしてリム部分を押し込めるので、僕はやりやすいです。
また、指を握り込むことを動力としませんので、指や手首が動きません。
(厳密には手首も動きますが、方向の調整に使っているだけで、動力としては全く使いません)
YouTubeやニコニコ動画だと『手首が固い』とコメント頂きます。
僕が演奏する音の99%はこの持ち方で叩いてます。
ダブルストロークも叩けますよ。(そのうち記事書きます)
オープンリムショットのコツの動画
小指グリップを使っているので、人差し指が伸びている、小指が常に閉じているのがわかると思います。
3-2.クローズドリムショットのコツ
クローズリムショットは、音を出すこと自体は難しくありません。
コツとして、スティックのここに着目して欲しい!という部分を2つ紹介します。
- スティック持ち手側の先端
- スティックショルダー部
この2点は、ヘッドとリムの当たる位置です。
音色や音の抜け方が変わりますので是非試してみて下さい。
スティック持ち手側の先端
スティックの先端(持ち手側)の位置は、とりあえず真ん中を基準にする人が多いと思います。
しかし、スティックを長く使う為に、少し左にずらす(左手で演奏する場合)とより大きな音量で演奏することができます。
ロックドラマーはぜひ試してみて下さい。
スティックショルダー部分
クローズドリムショットはスティックのショルダー部分をリムに当てて演奏します。
スティックの3分の1~4分の1付近を当てますが、音色が変わります。
中心からキレイに時計の針のようにスティックを向ける必要はありません。
色々試してみて下さい。
スティックの持ち方
クローズドリムショットを叩く際のスティックの持ち方は、僕は叩ければなんでも良いと思っています。
とはいえ、スティックの半分近くはショットの邪魔になるため持つことができません。
僕の持ち方を紹介しますと、置いたスティックを親指と人差し指で摘まんだ感じに持っています。
親指と人差し指で輪っかを作って、少し動けるようにしておきます。
そうすると、一回スティックのお尻をヘッドに着けずに叩けるようになるので、スピードプレイに対応しやすくなります。
4.リムショットの楽譜での表記
リムショットって楽譜上の扱いが雑です。
ドラム初心者の方や、DTMで打ち込みする方は悩んでしまいますよね。
基本的には、リムショットは奏者の表現なので、楽譜に縛られる必要はありません。
音源や、バンドメンバー、指揮者と相談してリムショットを使うか決めます。
4-1.オープンリムショットの音符は無い?!
オープンリムショットの楽譜上での表記は曖昧です。
ロック&ポップス系のバンドスコアだと、特に表記されないことが多いです。
表記しない代わりに、アクセント記号が付いていることもあります。
なぜなら、作曲者は音にしか興味が無いので、奏法まで知らないことがあるからです。
ドラマーとしては、音源を聴いたり、指揮者と相談しながら、音楽的にオープンリムショットで演奏するかを判断する必要があります。
基本的に、エレキギターやエレキベースが大きく音を鳴らしているなら、オープンリムショットで2拍4拍のバックビートを演奏して問題ありません。
4-2.クローズドリムショットの楽譜
クローズドリムショットは楽譜で明確に記譜されることが多いです。
吹奏楽の譜面だと、普通の音符で表記されていて、横に文字でrimやrim shot、closed rimなどと書かれることがあります。
文字で書かれている場合、音源を聞いてオープンなのかクローズなのか、単体のリムなのかを判断します。
4-3.リムショットと楽譜に関する悩み
結論から言うと、ドラマー(打ち込み)的には『より音楽的になる』と思えばそれが正解です。
作曲者の方は、なるべく具体的に指示して欲しい!というのがドラマーの願いです。
楽譜には書いてないけど、音源だとリムショットしてる
リムショットしちゃいましょう!
リムショットで演奏した方が良いと思うけど、勝手にやっちゃだめ?
リムショットしちゃいましょう!
あとでメンバーや指揮者が気になれば指摘してくるはずです。
少人数なので、リムショットしない方が良い?
リムショットをすると、音楽的におかしくなる場合、リムショットする必要はありません。
より音楽的に良い方へ演奏することが大切です。
(それが難しいんだよぉ!)
メンバーさんと相談したり、録音を聞き比べて、より良い音楽を作りましょう!
あとがき:どれくらいで出来るようになったか
僕がリムショットを安定して出来るようになったのは、大学生で軽音楽部に入って1年くらいしてからです。
(それでも1曲に1回くらいは余裕で外してましたがw)
高校生の頃は、吹奏楽部に所属していましたが、オープンリムショットをやるのは緊張して仕方がなかったです。
当時の成功率は6割くらいでした。
先ほども紹介した通り、【手首を振らずに水平に叩く】ことを意識してからはほとんど外すことは無くなりました。
(実際は、何で外さなくなったんだろう、と考えた時にこのことに気付いてから更に安定感が増したって感じです)
叩いてみたチャンネルの動画は140曲くらい投稿していますが、1曲を除いて全てノーカットで撮影しています。(マイファスの無告が難しすぎた/(^o^)\)
アマチュアドラマーの僕でもこれくらいは安定してオープンリムショットを叩けるようになりましたので、ぜひチャレンジしてみて下さい。
応援しています。
以上となります。ありがとうございました。