ドラム初心者がライブで演奏する時の注意点、サウンドチェックのやり方、当日の流れを、僕の経験談を交えて全力で解説していきます。
項目として分けると2つになりますので、必要な部分を読んで頂ければ幸いです。
- ライブハウスでドラムを演奏する時の注意点
- ライブハウスでの当日の流れ
前置きとして、想像に容易いことではありますが、ライブで100%の演奏が出来ることはありません。
僕は、高校時代吹奏楽部、大学時代は軽音楽部に所属しており、社会人になってからも数々のステージ(本番)を経験してきました。
その中で、実力100%のドラム演奏を披露出来たことはありません。実力の80%出せれば良い方だと思います^^;
この記事では、日々の練習以外に大切なこと(準備出来ること、対策出来ること、予想しておけること)について全力で語っていきますのでお役に立てれば嬉しいです。
1.ライブハウスでドラムを演奏する時の注意点
ライブハウスでのドラム演奏は、通常のリハーサルスタジオの練習とは異なります。ハード面、メンタル面のそれぞれ違いがありますので解説していきます。
これらの違いを先に理解しておくことでより実力100%の演奏に近づくことが出来ます。
1-1.ドラムセットの違い
ライブハウスで上手く演奏出来ない最大の原因は、ドラムセットがいつもと違うことです。
ドラム(太鼓)が違いますし、シンバルも違います。
スタジオを借りて毎回違うドラムセットで練習しているドラマーはあまり問題がありませんが、部活動に所属していてる等いつも同じドラムを叩いているドラマーにとっては、より自身の実力を出すのが難しい環境になります。
具体的には、ドラムのサイズ、シンバル、ハードウェア、マイキングに注意する必要があります。
少し詳しく書いていきます。
ドラム(太鼓)のサイズ
ライブハウスは会場の大きさに合わせて各ドラム(一つ一つの太鼓)の大きさも違います。
ステージが設けてあるライブハウスは各ドラムの大きさが標準的な場合が多いです。
具体的なインチ数は以下の通りです。
- バスドラム22インチ
- ハイタム12インチ
- ロータム14インチ
- フロアタムが16インチ
小さめのミュージックバーや、ジャズテイストが強めだったり、お客さんとステージに段差が無かったりすると小口径のドラムセットが使われることが多めです。
具体的なインチ数は以下の感じです。
- バスドラム20インチ
- ハイタム10インチ
- ロータム12インチ
- フロアタム14インチ
僕が演奏したことはありませんが、観客として見に行ったライブカフェでは、パールのリズムトラベラーがドラムセットとして常設されていました。
運よくいつも練習で使っているドラムセットがライブハウスに置いてあったとしてもチューニングが異なって皮の張りが異なることも多いです。これは特にバスドラムで多い気がします。僕が初めてライブハウスで演奏した際は、バスドラムがベトベトした演奏感覚でした。
楽器やチューニングが違うと当然打感も異なります。いつもと同じストロークをしてもいつもとは異なる音が楽器から出てきます。
その音を受け入れて演奏できるかどうか、今までスタジオで練習していた時の音に近づけられるかが課題となります。これが本当に難しいのです。
シンバルの硬さ
シンバルでも太鼓と同じことが言えます。
ライブハウスに常設されているシンバルは異なります。
特に違うと思うのがライドシンバルです。モデルによって粒立ちの大きさがめちゃくちゃ違います。僕的には粒立ちが良すぎるのが嫌いだったりします。また、ふちを叩いて刻みに使いたいときに鳴らな過ぎるのも困りますね。
モデルによってクラッシュシンバルの鳴りが大きすぎたり、逆に音量が物足りないこともあります。
僕の体験では、有名ミュージシャンが来る老舗のライブハウスでも、スタジオより廉価な硬いシンバルが使われていることがありました。これが本当に鳴らないです。(実力の問題もありますが)
シンバルを持ち込まないドラマーに人権はないのでしょうか?それともPAの都合上、シンバルは小さ目に録りたいのかもしれません。(シンバルばっかり大きくて太鼓が小さいドラマーっていますよね。ギクリ)
ハードウェア
タムのセッティングですが、メーカーによっていつものセッティングが出来ないことがあります。
僕はなるべく地面と水平に近い角度で、かつハイタムとロータムを近づけたい派です。
多くのスタジオで設置されているパールのドラムだとセッティングが上手く行きやすいのですが、異なるメーカーだと少し手間取ったり、無段階にセッティング出来る機材だと壊れかけていて下がってきてしまい思い通りにセッティング出来ないことがあります。
あとは太鼓自体の深さが長いとバスドラムと干渉してしまい、いつもより斜めにセッティングせざるを得ないこともあります。
ライブハウスの転換時間(=セッティングに掛けられる時間)は限られていますので、完璧にセッティング出来ることを期待しない方が良いでしょう。というか、完璧にセッティング出来た試しがありません。
一番困ったのは、スネアスタンドのネジが壊れていてスネアドラムが低くしかセッティング出来なかったことです。この時は、椅子を低くしてオープンリムショットがスムーズに演奏できるように対処しました、しかし、タムとの高低差が広がってしまい叩きにくかったです。
対策としては、ライブ前は色々なセッティング(各太鼓やシンバルの距離をいつもより離して)で練習してみるのが大切かなと思います。
僕もですがなるべく移動距離を短くするようなセッティングをしがちですが、ドラムセットはクラシック音楽では別々の奏者が演奏する太鼓やシンバルを一人の奏者が演奏する楽器です。セッティングを遠くしてそのバラバラ感を味わってみるのも面白いかもしれません。
マイキングによるセッティング制限
これは僕以外に該当するかわかりません。
スプラッシュシンバルをセッティングするときにハイハットのロッドに付けているのですが、これだとハイハットの上からマイキングをするとバッティングしてしまうのです。
いつもは荷物を少なくする為にハイハットロッドにスプラッシュシンバルをセッティングしていますが、これ以来ライブの時にはTAMAのアタッチメントを持参しています。
1-2.緊張
ライブハウスでドラムを演奏する時の注意点として、緊張があります。緊張することでパフォーマンスを大きく下げてしまいます。
実は、練習すればするほど、気持ちを込めれば込めるほど、良いところを見せてやろうと思うほど、失敗したくないと思うほど、緊張が大きくなってしまいます。
残念ながら即効性のある対策はありません。例えば、成功率70%のちょっと難しいフィルインとかは大体失敗しますw
対策としては、自分が難しいと思うようなフレーズは演奏しないことです。スムーズに演奏出来るフレーズに置き換えると他の部分(リズムやバスドラムの音量など)に頭のリソースを使うことができます。
1-3.いつもと違うパフォーマンスをしてしまう
スティック回しや大き目なフォームなど、いつもと違うことをしてしまうことがありました。
近年では、スタジオ練習の時からライブを想定してスティック回しを入れてます。
1-4.他の奏者やアンプの位置
初ライブで一番驚いたのは、他の楽器の聞こえ方が全然違うことです。
理由としては、各アンプのスピーカーがお客さんの方を向いているからです。
スタジオで練習する時は、お互い向かい合っていると思いますが、全然違いますよ。
特にギターのリフから入る曲は何を弾いているかわからなくて拍を見失うこともありました。
ドラムから始まらない曲、途中でドラムが抜ける曲は、要チェックです。他の奏者の体の動きを日ごろからチェックしたり、他パートのフレーズも頭で歌えるようにしておくと安心です。
もしくは、ドラムが常になっているようにアレンジすることです。具体例としては、ハイハットで2拍4拍で鳴らしたり、8分や16分音符を主体としたフレーズでなんかやっとく感じです。(適当)
1-5.失敗を前提としたフレーズへの置き換え
当たり前ではありますが、実力以上の演奏をライブハウスで行うことは出来ません。
緊張も相まって、いつもできたフレーズが演奏出来ないことがあります。
最も大切なのは、いつも上手くいかない部分は本番でも上手く演奏することは出来ません。
その事実を先に受け入れて、安定したフレーズへの置き換える勇気が大切です。
ライブ当日の流れ
ライブ当日の流れは以下の通りです。
- 直前の練習
- 会場入り
- リハーサル
- 食事
- 本番
- 精算
- マネージャーとのお話
- 打ち上げ
直前の練習
あえて書きましたが、直前の練習はとても大切です。シンプルに楽器に慣れておくことが重要です。
前日か当日に練習出来ると安心感がまるで違います。特に初心者ドラマーの場合はバンド練習が入れなくても個人練習に入ることをおススメします。
バンド全体では、ライブの最初と最後、MCの流れなどを確認しておきましょう。
会場入り
ライブ会場へ行かなければライブは始まりません。(当たり前)
元気よく挨拶して入場しましょう。担当の方にPA表を提出します。PA表は事前に提出する場合もあれば当日書く場合もあります。
リハーサルの時間も確認しておきます。押したり(遅れたり)巻いたり(早まったり)する可能性があります。バンドあるあるなのが、遅刻するバンドがあったせいでリハーサルや本番の順番が入れ替わることです。
リハーサルの待機場所は客席であることが多いです。舞台袖や控室もありますが、ライブ会場によって大きさが異なります。出演バンドが全員入れないくらい狭い場合は、基本的には次の出順のバンドの為の空間、兼荷物置き場となります。
周りの雰囲気を見るか、ライブハウスの方に確認しましょう。
そして、リハーサルの為に機材の準備をします。スネアドラムのチューニングやツインペダルなどの持ち込み機材の組み立てです。
僕は予備のスティックはバスドラムの上に置く派ですが、バスドラムの上にタム干渉対策のシートがひかれている場合があります。その時は、スティックケースをフロアタムに付けます。予備が2組あればとりあえず安心です。
リハーサル
リハーサルでは各パートごとにサウンドチェックを行ったあとに、バンド全体のチェック、リターンの音量や各楽器のバランス調整、照明の調整や確認を行います。
各楽器のサウンドチェックは、ドラム→ギター→ベース→ピアノ→ボーカルみたいな順番で行います。(記憶曖昧ですが、ドラムからが多いです)
ドラムのサウンドチェック
ドラムのサウンドチェックの流れは以下の通りです。
- 各太鼓、シンバル単体のサウンドチェック
- ドラムセット全体のサウンドチェック
- 返しの確認
PAさんの言うとおりに叩いていきます。各太鼓はBPM60くらいで1発ずつ叩いておけば問題ないです。
動画を見た方が理解が深まるのでドラムのサウンドチェックの動画を貼り付けておきます。
リハーサルを終えたら開場時間より前に荷物を控室に移動させます。
食事
リハーサル後は開園まで各バンド自由行動となることが多いです。好みによりますが、僕は食事に行くことが多いです。
食べ物には気を付けた方が良いです。特にお腹が痛くなってしまうと頭の中のリソースの半分以上がそちらに取られてしまいます。
ライブハウスは繁華街にあることが多いです。おのずと美味しいラーメンが食べたくなるでしょう。
しかし、ラーメン(個人的には特につけ麺)は危険です。汁気のあるもの、油分の多い食事は控えましょう。
おにぎりやパン、お店なら和の定食を食べることをおススメします。あとは、腹八分にしておくことです。いつも大盛を頼んでいたら大盛を控えるだけでも効果があります。
がっつりした食事は打ち上げの楽しみにしておきましょう。
本番
本番を楽しみましょう。ミスを引きずらずに目の前の演奏を精一杯することが大切です。
お客さんの立場だったら、『さっきドラマーミスしてたな~』と思いながら見続ける人っていません。今のプレイを見ています。
ミスは自分の中でとどめておき、ライブ後からの練習のモチベーションに変えましょう!
そのライブが人生最後のライブでは無いことがほとんどなのですから・・・
チケット精算
ライブにはチケットノルマがあります。チケットノルマは参加費みたいなものです。
チケットのノルマと単価はライブハウスが決めることが多いです。
例えば、チケットノルマが20000円でチケット1枚1000円の場合、20名お客さんが来てくれれば、自己負担0円でライブが出来ることになります。
チケットは事前に現物をくれることは少ないです。当日お客さんに、ライブハウスの受付でお目当てのバンドとして自分のバンド名を言ってもらう必要があります。
ライブハウスによっては機材利用料の負担があります。
売れなければ、(招待して売らなければ)自分たちで残額を支払います。
友人からお金を取るか問題
友人からチケット料金を支払ってもらうかは結構センシティブな問題です。
僕的には、バンドをやっていてお互いにライブに遊びに行く関係だったら払ってもらいますが、それ以外は基本的に招待します。
見に来てもらうということは、電車賃や時間を割いて頂いているということです。バンド以外で関わりのある友人からはお金は取れません^^;
例外として、部活動の定期演奏会の場合は、部の運営の事情として決めた金額があればお客さん一律で頂きますので自分がお誘いしたお客さんにもお支払いして頂く感覚でいます。
もちろんお誘いする際に金額をお伝えしますし、1ドリンク料金制であれば説明もします。
ドリンク料は自己負担してもらっています。
マネージャーとのお話
ライブが終わるとブッキングマネージャーと話をすることがあります。
特にオリジナルバンドを集めたライブだと多いです。
毎日のように音楽に触れている方に、バンド全体の感想をざっくり教えてもらえるのでありがたいです。
まぁ向こうからすれば我々バンドマンはお客さんでもあるわけなので、褒めてばかりくる人は信用しませんが^^;
打ち上げ
ライブが終わるとライブハウスの客先を使って打ち上げをすることがあります。
乾きもの(ナッツなどのおつまみとポテチとかのお菓子)と飲み物で1000~2000円掛かります。
ライブハウスの貴重な収入源です。
本気で活動しているバンドは人脈を広げるための投資として参加するか考えましょう。
そうでない場合はメンバーだけで打ち上げした方が僕は好きですw
大切なことまとめ
- 色々なスタジオで練習する
- 太鼓の張りを変えてみる
- セッティングにこだわり過ぎない
- 録音録画する
- パフォーマンスや曲順など、本番と同じように練習する
- 他の奏者とアイコンタクトを日ごろからとる
- ドラム単体で叩いて練習してみる
- 暗譜する
- いろいろなフィルインアプローチする
- よく寝る
- 多く練習して自信をつける
- ラーメンは危険
皆さん、そして未来の僕が良いライブが出来ることを祈っております!